タイトルは「10倍株・100倍株の見つけ方」ですが、中身は当たり銘柄の一覧ではありません。著者の中島聡さんが言っているのは、もっと地味で、もっと本質的なことでした。自分がよく知っている業界に投資しなさい、ということです。
自分は高配当・インカム重視の方針なので、本来この本とは真逆の立場です。それでも読んでよかったと思っているので、その理由を書きます。
一番の主張は「自分が詳しい業界に投資する」
著者の中島聡さんは、もともとエンジニアです。Windowsの開発に関わった経歴を持つプログラマーで、その専門領域の知識を土台に投資をしてきた人です。
ここがこの本の説得力の源になっています。技術の世界にいたから、次に何が主流になりそうかが、ニュースになる前の段階で肌感覚として分かった。銘柄を当てにいったというより、自分が一番よく見えている場所で勝負していたということです。
逆に言えば、自分が何も知らない業界で同じことをやろうとしても再現できません。この本は手法の本の形をしていますが、実際には「どこで戦うかを決める本」に近いと感じました。
「メタトレンド」とは何か
メタトレンドは、10年20年という単位で社会全体を変えていく大きな波のことです。本書ではこれを、テクニカル分析・ファンダメンタル分析に続く第三の見方として紹介しています。
一時的な流行ではなく、構造として不可逆に進んでいく変化。その波の上にいる産業と企業に、早い段階で乗る。これがメタトレンド投資の骨格です。
なぜ「詳しい業界」でないと成立しないのか
読みながら納得したのは、この手法の弱点をそのまま裏返すと「詳しい業界」に行き着くからです。
大きな波は、ニュースになった時点ではもう誰もが知っています。そこから買うのは、早期どころかかなり遅い。早く気づける人は、その業界の中にいて、数字や見出しになる前の段階を日常として見ている人です。
つまり必要なのは情報が早いことではなく、同じ情報の意味が分かること。同じ発表を見ても、業界にいる人は「これは効く」「これは見かけだけ」の区別がつきます。そこが素人との差で、その差がない領域で真似をしても勝ち目は薄い、と受け取りました。
読んで変わったこと:個別株は詳しい分野だけにする
この本を読んで自分の中で決めたのは、個別株をやるなら、自分が詳しい分野に絞るということです。
それまでは「良さそうな会社があれば買う」くらいの曖昧な感覚でした。今は、その会社の業界について自分が人に説明できるかを先に考えます。説明できないなら、そこは自分の土俵じゃない。
この線引きができただけで、手を出す先が一気に減りました。減ったこと自体が収穫だと思っています。
正直、自分にはまだ「詳しい分野」がない
ここは正直に書きます。自分には、胸を張って「詳しい」と言える業界がまだありません。
21歳の学生で、営業代行の事業と、ブログと、株の分析ツールを作っています。どれも手は動かしていますが、業界の先を読めるレベルかと言われれば全然そこまで行っていません。
だからこの本を読んで得たのは銘柄のヒントではなく、分からない分野の個別株には手を出さないという線引きでした。地味ですが、自分の今の段階ではこっちのほうが役に立ちます。
方針としては、当面はインカム中心のまま変えません。そのうえで、試すとしても少額のサテライト枠まで。その前にまず、自分が「詳しい」と言える分野を一つ作るのが先だと思っています。本業を伸ばすことがそのまま投資の武器になる、という読み方をしました。







