本紹介公開 更新 約9分
「なぜハーバードでは営業を教えないのか」要約・感想
なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか?理由は、営業が低俗と見られ、理論化しにくいから。本書の結論・要約・感想を営業代行の実務経験から解説します。
執筆・検証:ぜん/編集方針
「営業」という言葉に、少し後ろめたいイメージを持っている人は多いと思います。ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)も同じで、カリキュラムに「営業」の授業はほとんど存在しません。
この本は、その矛盾を正面から問う一冊です。著者のフィリップ・デルヴス・ブロートンはHBSのMBA卒業生でありながら、「なぜ学校は営業を教えないのか」という疑問を抱き続けた。世界最高峰のビジネス教育が避け続ける「営業」の本質を、取材と自らの経験で解き明かしています。
結論:なぜHBSでは営業を教えないのか
本書の答えは、営業がエリート教育では低俗な仕事と見られ、個人差が大きく理論として体系化しにくいからです。しかし著者は、顧客の信頼を得て「売る力」こそ、あらゆるビジネスを成立させる本質だと主張します。
本の基本情報
| 書名 | なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか? |
| 著者 | フィリップ・デルヴス・ブロートン |
| 訳者 | 関美和 |
| 出版社 | プレジデント社 |
| 発行 | 2013年8月(381ページ) |
「営業」がバカにされる理由
HBSをはじめとするエリートビジネス教育が営業を軽視する理由は、主にふたつです。
- 営業は「低俗」だというイメージ:相手を説得・誘導するネガティブな行為と捉えられがち
- 体系化が難しい:財務やマーケティングと違い、数式や理論に落とし込みにくい
しかし著者はこう反論します。「あらゆるビジネスは、最終的には誰かが誰かに何かを売ることで成立する。それを教えないのは、エンジンの作り方を教えないで車の設計を学ばせるようなものだ」
本当に優れた営業とは何か
著者が世界中の「凄腕セールスパーソン」を取材してわかったことは、彼らに共通する意外な特徴でした。
- 押し付けではなく、相手の課題を深く聞くことに時間をかける
- 商品を売るのではなく、相手の未来を変えることを売っている
- 断られることを恐れず、「ノー」から学んでいる
一流の営業は、お世辞を並べたり強引に押したりしない。むしろ相手の言葉を引き出す「聞く力」が圧倒的に高い。これは大学院でケーススタディを読み込んでいるだけでは、なかなか身につかないスキルです。
営業は「人生最強のスキル」である
本書の最も重要なメッセージはここにあります。
「自分のアイデアを人に伝え、動かす力。これは起業家にも、サラリーマンにも、政治家にも、親にも必要なスキルだ。つまり全員が営業をしている。」
就職の面接も、社内でのプレゼンも、友人への提案も、本質的にはすべて「営業」です。にもかかわらず、それを正面から学ぶ機会はほとんどない。
一番驚いたこと:トップセールスは、全員やり方が違う
この本を読んで最も意外だったのは、「売れる営業マンに共通の“型”は存在しない」という指摘でした。
世の中には数え切れないほどのトップセールスがいますが、その手法は本当にバラバラです。理詰めで論理的に攻める人もいれば、とにかく雑談で懐に入る人、寡黙だけど誠実さで信頼される人もいる。正解が一つに定まらないのが営業の世界でした。
ここに「なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか」という問いの答えがあります。ビジネススクールは、誰がやっても同じ結果になる再現性のある理論を教える場所です。財務・会計・マーケティングには型がある。でも営業は、話し方・間の取り方・関係の築き方が人によって全く異なり、体系化して「これが正解」と教えることができない。だから教えない——という話でした。
BANSOUで対面営業をしている自分に刺さった理由
自分は今、営業代行のBANSOUで税理士事務所へ対面営業をしています。始めたばかりで実績はまだこれからですが、この「全員やり方が違う」という指摘には正直、救われました。
営業を始める前は「正しい営業のやり方」を探して、トークスクリプトや型を必死に覚えようとしていました。でもこの本を読んで、「万人共通の正解を探すのではなく、自分に合ったスタイルを見つけて磨けばいい」と考えが変わりました。口下手でも、自分の誠実さや準備の丁寧さを武器にすればいい。型を暗記することより、目の前の相手に合わせて動くことのほうが大事だと気づけたのは大きな収穫でした。
読んで変わったこと
営業代行事業「BANSOU」を始めた自分にとって、この本は特別に刺さりました。
「営業が得意」と言うことへの引け目が、少し消えました。むしろ「これは最も人間的で、最も難しいスキルのひとつだ」という自覚に変わりました。テレアポで断られ続けても、それは「学習」だと捉え直せるようになった気がします。
起業・副業・就活を考えている人、あるいは「人を動かす力」を身につけたい人にとって、必読の一冊です。
本書の考え方を、営業の場面に置き換えると
本書は「営業とは何か」を問う本なので、具体的なやり方はあまり書かれていません。そこで、本書のメッセージを実際の営業の場面に置き換えてみました。
| 本書の考え方 | 営業の場面では |
|---|
| 相手の課題を深く聞く | 最初の面談では、提案より先に「いま困っていること」を聞く時間を取る |
| 相手の未来を売る | 機能や価格の説明より、「導入したあと何が変わるか」から話す |
| 「ノー」から学ぶ | 断られた理由を記録し、次に話すときに変えることを1つだけ決める |
| 正解の型は人それぞれ | トークを丸暗記するより、自分に合う話し方と準備のやり方を見つけて磨く |
営業を学ぶなら、この順番で読む
各本の紹介は営業の本おすすめ7選にもまとめています。
営業に関する本を何冊か読んできて、この順番だと理解がつながりやすいと感じました。
- なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか(本書):営業という仕事の価値を知る
- 影響力の武器(Amazon):人が「はい」と言うときの心理の原理を知る
- ドリルを売るには穴を売れ(Amazon):お客さんが本当に欲しいものから考える
- エスキモーに氷を売る(Amazon):売りにくい商品をどう売るかを学ぶ
- 営業クエスト(Amazon):営業を続けるための気持ちの持ち方を知る
自社で営業担当を置くのが難しい会社向けには、外部に任せる方法を営業代行とは?仕組み・料金・注意点でまとめています。
営業を学びたい人がこの本の次に読むべき本
この本で「営業は人生最強のスキル」と腑に落ちたら、次は実践的なマーケティングに進むのがおすすめです。
顧客が本当に欲しいものを考えるドリルを売るには穴を売れは、営業トークを具体的に変えてくれます。また、営業力で下剋上していく物語としてトリリオンゲーム(Amazon)を読むと、営業の面白さがエンタメとして体感できます。
自分はBANSOUで営業代行をやっていますが、「営業=説得・押し売り」ではなく「相手の課題を聞き、未来を変える仕事」だと捉え直せたのが、この本の一番の収穫でした。
「なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか」に関するよくある質問
営業職以外の人でも読む価値はありますか?
あります。本書の主張は「全員が何かを売っている」というもの。就活の面接、社内プレゼン、提案、すべてが営業です。営業職でなくても「人を動かす力」を学べます。
具体的な営業テクニックの本ですか?
テクニック集ではなく「営業とは何か」「なぜ重要か」を問い直す本です。具体的な手法を学びたい場合は、マーケティングの実践書と合わせて読むのがおすすめです。
なぜハーバードは営業を教えないのですか?
エリート教育が営業を格下の仕事と見なし体系化の対象から外してきた、というのが本書の主張。だが著者は、その営業こそがビジネスの成否を分ける本質だと説きます。
一番のメッセージは何ですか?
売ることから逃げるな。顧客と向き合い信頼を築いて売り切る力こそ実務で価値を生む、という一貫した主張です。
この本の次に、何を読めばいいですか?
人が動く心理の原理を知るなら『影響力の武器』、お客さんの目線で考える練習なら『ドリルを売るには穴を売れ』がおすすめです。
誰におすすめですか?
営業を作業だと感じている人、営業出身で自分の価値を言語化したい人、起業家や個人事業主におすすめです。
この本を読む
なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか
フィリップ・デルヴス・ブロートン(著)
Amazonで見る →本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の取引や投資を勧誘するものではありません。投資・購入に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。掲載内容には正確を期していますが、その完全性・最新性を保証するものではありません。詳しくは免責事項をご覧ください。