
いきなりだが、こんな問題を考えてみてほしい。
自動車用トンネルを抜けた後も、ヘッドライトを点けたまま走り、そのまま長時間駐車してバッテリーを上げてしまう人がいる。対策としてトンネルの出口に「ライトを消せ」と標識を出すことが考えられる。でも、それだと夜間や雨天でライトが必要な人まで消してしまうかもしれない。もしあなたがトンネル管理者なら、どんな標識を出す?この一見なんてことない問いが、この本『ライト、ついてますか——問題発見の人間学』の入り口だ。ドナルド・C・ゴースとジェラルド・M・ワインバーグによる、原著 Are Your Lights On? の邦訳。1987年刊行の古い本だが、今も版を重ねる名著である。
どんな本か——多くのコンサル本の「原点」
世の中には問題解決やロジカルシンキングの本が山ほどある。でもそのほとんどは「与えられた問題をどう解くか」に力を注いでいる。この本が扱うのは、その一歩手前だ。
すなわち——「そもそも、解くべき問題は何なのか?」。
問題を定義する。誰の問題かを見極める。本当にそれを解きたいのかを疑う。今のコンサル本やデザイン思考が当たり前に言うことを、40年近く前に、ユーモアたっぷりの寓話で説いた。だから「元祖」であり、原点に立ち返りたいビジネスマンにこそ効く。
この本の要約
① 問題とは「望むもの」と「認識したもの」のギャップ
この本は問題をこう定義する。問題とは、望まれた事柄と認識された事柄の相違である。つまり問題は「外」にあるのではなく、人の頭の中の期待と現実のズレとして生まれる。だから解決には2通りある——現実を変えるか、望みのほうを変えるか。これに気づくだけで、選択肢が一気に広がる。
② それは「誰の」問題か
自分が解こうとしている問題は、本当に自分(や依頼者)の問題なのか。当事者を取り違えると、頑張って解いても誰も喜ばない。「誰の問題か」を問うだけで、そもそも自分が動くべきかどうかまで見えてくる。
③ 問題を性急に解くな、まず疑え
人は問題を見るとすぐ解きたがる。だが早すぎる解決は、間違った問題を上手に解くことになりがちだ。「これは本当の問題か?」「定義は正しいか?」と一度立ち止まる——その回り道が、結局いちばんの近道になる。
④ 本当に、それを解決したいのか
問題を解けば、たいてい新しい問題が生まれる。だからこそ「その問題は放っておくとどうなる?」「解いた後に何が起きる?」まで考える。解かないことも立派な選択肢だ、とこの本は言う。







