『ほったらかし投資術』は、経済評論家の山崎元さんと、インデックス投資ブロガーの水瀬ケンイチさんの共著です。「個人の資産運用は、シンプルなインデックス投資で十分」という考え方を、何を・いくら・どう買うかまで具体的に示した本です。山崎さんは2024年に亡くなりましたが、生涯この考え方を言い続けた方でした。
この記事は「全面改訂 第3版」をもとに、結論(ネタバレ)を先にまとめ、そのあと理由と、ほったらかせなかった21歳の感想を書きます。
ネタバレ:この本の結論(6つの手順)
- 当面の生活費は、預金で確保しておく(生活防衛資金)
- 残りのお金を「リスク資産(株式)」と「無リスク資産(預金・個人向け国債)」に分ける
- リスク資産は、全世界株式のインデックスファンド1本でいい
- 無リスク資産は、普通預金か個人向け国債(変動金利型10年)
- NISAやiDeCoなど、税金の優遇がある口座から使う
- あとは放置。相場を見て売り買いしない。お金が必要になったら、必要な分だけ売る
本当にこれだけです。銘柄分析も、売買のタイミングも要りません。お金の置き場所を表にすると、次のとおりです。
| お金 | 置き場所 |
|---|---|
| 当面の生活費 | 預金(生活防衛資金) |
| リスク資産 | 全世界株式のインデックスファンド1本 |
| 無リスク | 普通預金か個人向け国債(変動金利型10年) |
| 使う口座 | NISA・iDeCoなど、税金の優遇がある口座から |
本の基本情報
| 書名 | ほったらかし投資術〈全面改訂 第3版〉 |
|---|---|
| 著者 | 山崎元・水瀬ケンイチ |
| 出版社 | 朝日新聞出版(朝日新書) |
| 発行 | 2022年3月(222ページ) |
| 初版 | 2010年 |
ここから先は「なぜそれでいいのか」の説明です。
いくら投資する?「最悪1年で3分の1」で考える
山崎さんの考え方で特に有名なのが、リスク資産に回す金額の決め方です。株式などのリスク資産は、悪い年には1年で3分の1ほど値下がりすることもある、と想定しておきます。
そこで「1年で失っても耐えられる金額」の3倍までをリスク資産に回す、というのが目安です。
- 最悪30万円まで減っても耐えられる → リスク資産は90万円まで
- 最悪10万円までなら → リスク資産は30万円まで
商品選びより先に「いくらまでなら値下がりに耐えられるか」を決める。これが、値下がりしても売らずに放置できるための土台になります。
なぜ「全世界株1本」でいいのか
- 手数料が安い:長く持つほど、手数料の差がそのままリターンの差になる
- 1本で世界中に分散できる:自分で国や地域の配分を考えたり、こまめに組み直したりする手間がほぼない
- プロが選ぶ商品が勝つとは限らない:手数料の高いアクティブファンドや、金融機関の窓口ですすめられる商品は、わざわざ選ぶ理由が薄い
本書では、低コストの全世界株式ファンドの例として「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」などが挙げられています。商品の手数料は変わることがあるので、買う前に最新の情報を確認してください。
無リスク資産は「個人向け国債 変動10年」
リスク資産に回さないお金は、普通預金か個人向け国債(変動金利型10年)に置きます。元本が減りにくく、金利が上がれば受け取る利息も増える仕組みなので、「株が下がっても生活が揺らがない部分」として持っておく、という位置づけです。
感想:自分は「ほったらかせなかった」
この本の手順はシンプルで、正しいと思います。でも自分は、その通りにはできませんでした。
オルカンを2万円くらいから買い始めたものの、学生でバイト収入の自分には、毎月まとまった額を積み立てる余裕がありませんでした。金額が小さいと増えても実感がなく、少しの利益で売りたくなる。結局、少し利益が出たところで売ってしまいました。本書がいちばん大事にしている「売らずに放置する」を守れなかったわけです(くわしくは21歳の投資遍歴に書きました)。
読み返して思うのは、2つのことです。
1. 手順の1番目と2番目が、いちばん大事
本書は商品選びより先に、生活防衛資金と「リスクを取れる金額」を決めることを求めています。自分のように入金力が小さいうちは、何を買うかより、まず元手をつくることが先だった。そう考えて、いったん持っていた投資を全部売って事業に回し、入金力を上げることに集中しました。
2. 分配金が好きな人には、別の続け方もある
自分はその後、分配金が入る高配当ファンドに移りました。含み益だと使わないけれど、分配金なら確定したお金が入ってくる。少しでも「豊かになった実感」がほしかった自分には、そのほうが合っていました。本書の「全世界株1本」とは違う道ですが、続けやすさで選んだ形です。ただし、高配当が市場平均に勝つわけではない点は理解しておく必要があります。
その高配当ファンドも含めて、いったんすべて売って事業の資金に回し、2026年10月からNISAの積立を再開しています。今度は本書がいちばん大事にしている「売らずに放置する」を守れるかが勝負です。