
これはマンガです。でもビジネス書として語りたい。
「ベンチャーってこんなもんだよな」と思いながら全巻読みました。起業を考えている人、今まさに何かをゼロから立ち上げている人に特に刺さると思います。
どんなマンガか
天才ハッカーのガクと、口だけは超一流のチャラ男・ハルが組んで、IT企業を立ち上げ一兆ドル企業を目指すという話です。
ガクの技術力とハルの営業力・人を動かす力の対比が面白くて、「スタートアップに必要なのはこの2タイプだ」と腑に落ちます。技術だけでも動かない、口だけでも動かない、両方の化学反応でビジネスが動く。
ハルの営業力(外面)とガクの技術力(中身)
見ていて特に面白かったのは、ハルの圧倒的な営業力と、ガクの圧倒的な技術力の対比です。
ハルは、人に会い、相手の懐へ入り、まだ形になっていない未来を本当に実現できるように語ります。資金調達、採用、交渉、新しい人との出会いなど、事業の「外側」をつくる力が突出しています。一方のガクは、集まった期待を実際に動くサービスへ変える技術を持っています。
| 役割 | ハル | ガク |
|---|---|---|
| 強み | 営業・交渉・人を巻き込む力 | 技術・開発・形にする力 |
| 集めるもの | 人・資金・期待・機会 | 機能・品質・実際の価値 |
| 事業での役割 | 外面をつくる | 中身をつくる |
営業だけでは、期待を集めても提供できる価値がありません。技術だけでは、優れたものを作っても存在を知ってもらえず、人も資金も集まりません。外面と中身のどちらが上という話ではなく、両方がそろったときに初めて事業が大きく動くことが、二人の関係から伝わってきます。
中身がない段階で、人とお金を集める
トリリオンゲーム特有のゾクゾク感は、完成したビジネスを売るのではなく、まだ十分な中身がない段階でハルが人とお金を集めてしまうところにあります。
普通なら、商品を完成させ、実績をつくってから営業や資金調達を始めると考えます。しかしハルは、先に大きな約束と期待をつくり、採用や出会いによって必要な能力を集めます。そして後から、ガクたちが期限に追われながら何とか中身のあるビジネスへ仕上げていきます。
この「先に機会をつくり、必要なものを後から集める」という順序が、現実離れしているようで起業の一面を表していると感じました。十分な資金、人材、実績がそろうまで待っていたら、新しい事業はいつまでも始まりません。今あるもの以上の未来を語り、その未来に必要な人を巻き込む力も、起業家に必要な能力です。
期待を集めた後に、作り切る責任がある
ただし、外面だけを良く見せればよいわけではありません。ハルの営業が物語として成立するのは、集めた期待に対してガクが中身を作り、最終的に価値を返そうとするからです。
実現できないことを言って終われば、それは営業ではなく信用を失う行為です。先に約束するなら、後から必死に追いつき、成果として返す責任があります。営業で生まれた時間と機会を、技術と実行力で本物に変える。この緊張感が二人の事業を面白くしています。
ビジネスを作るスピード感が楽しい
資金調達、採用、出会い、開発が次々につながり、何もなかった場所から短期間でビジネスが立ち上がっていくスピード感も魅力です。
計画を完璧にしてから動くのではなく、目の前に現れた人や機会を使い、その場で次の一手をつくる。問題が起きたら止まるのではなく、新しい交渉やアイデアでさらに大きな展開へ進む。この予測できなさが、読んでいて楽しく、同時にゾクゾクする理由だと思います。







