NISA を始めようとすると必ず目にする「オルカン」。正式名称は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」です。
なぜこんなに人気があるのか。S&P500とどう違うのか。この記事で整理します。
オルカンとは何か
オルカン(全世界株式)は、世界中の株式市場に分散投資できるインデックスファンドです。
- 投資対象:約50カ国・約3,000社
- 地域配分:米国約63%、日本約5%、英国・フランス・その他
- 信託報酬(年間コスト):約0.057%(業界最安水準)
「これ1本で世界全体に投資できる」のが最大の特徴です。
S&P500との違い
| |
オルカン |
S&P500 |
| 投資対象 |
全世界(約50カ国) |
米国のみ(500社) |
| 分散度 |
高い |
米国集中 |
| 過去リターン(10年) |
年率 約12% |
年率 約14%(円建て) |
| 米国以外が伸びたとき |
恩恵を受けられる |
恩恵なし |
過去10年のリターンはS&P500が優れています。ただしこれは「米国が特別に強かった時代」の話であり、今後も同じとは限りません。
どちらを選ぶべきか
正直なところ、どちらでも大きく間違いではありません。ただ判断基準を持つなら:
オルカンを選ぶべき人
- 「米国が今後も最強」かどうか自信がない
- とにかく分散を重視したい
- 何も考えずに1本で済ませたい
S&P500を選ぶべき人
- 「これからも米国が世界をリードする」と信じている
- 過去の高リターンの実績に賭けたい
- 新興国リスクを取りたくない
「どちらか決められない」なら
オルカン1本が最もシンプルで合理的な選択です。
オルカンの中身は米国が約63%を占めているため、「S&P500に投資しながら、米国以外の成長も取り込む」ような効果があります。米国だけに集中したくないけど米国は多めにしたい、という考え方に合っています。
オルカンの値動きとリスクを知っておく
「全世界に分散しているから安全」と思われがちですが、オルカンも株式である以上、価格は大きく上下します。
過去には世界的な暴落で短期間に30%以上下落した局面もありました。オルカンも例外ではなく、買った直後にマイナスになることは普通に起こります。大事なのは、それでも売らずに積み立てを続けること。長期で見れば世界経済は成長してきた、というのがオルカンに投資する根拠です。
逆に言えば、「数年で増やしたい」「下落に耐えられない」という人にはオルカンも向きません。最低でも10年以上の長期で考えられる人向けの商品です。
20代ならオルカンとS&P500どっち?
21歳・学生の自分の結論は「迷うならオルカン1本」です。
理由は、20代は運用期間がとにかく長いから。30年・40年というスパンで考えると、「今後も米国が世界最強であり続けるか」は誰にも分かりません。オルカンなら、もし米国以外の国が伸びてもその成長を取り込めます。「未来を予想しなくていい」のがオルカンの最大の強みです。
もちろん「米国の成長を信じる」ならS&P500も合理的な選択です。どちらを選んでも、20代から積み立てを始めれば時間が味方をしてくれます。実際の始め方は新NISAの始め方ガイド、考え方の補強にはほったらかし投資術の感想もどうぞ。
正直に言うと、自分はどちらも選びませんでした
ここまでオルカンとS&P500を比較してきましたが、最後に正直な話をします。実は自分も、もともとはオルカン派でした。でも今は乗り換えて、あえて高配当ファンドを選んでいます。
オルカンもS&P500も、長期の資産形成では極めて合理的な選択肢です。それは分かっています。それでも自分が高配当を選んだのは、「分配金が定期的に入ってくるのが、単純に嬉しいから」です。
なぜ「効率的な2つ」を選ばなかったのか
オルカンやS&P500は、基本的に含み益(評価額の上昇)で増えていくタイプです。理論上はこちらのほうが効率的だとされます。分配金を出さずに再投資に回すので、複利が最大限効くからです。
でも、自分には弱点がありました。含み益は「使わない」んです。画面上で資産が増えていても、それは確定した利益ではない。売らない限り、いつまでも「豊かになった実感」が湧かない。数字が増えているだけで、生活は何も変わらない——この感覚が、自分には続ける気力を削ぐものでした。
その点、分配金は実際に振り込まれます。金額は小さくても、確定したお金が手元に入る。それで少しだけ贅沢——ちょっとしたトッピングを追加するくらいの贅沢——ができる。この「英気を養える感覚」が、自分にとっては投資を続ける燃料になりました。
非効率でも、続けられる方法を選んだ
もちろん、高配当には弱点もあります。特に大きいのが「複利が効きにくい」という点です。
オルカンやS&P500のような再投資型のインデックスは、売るまで利益が確定しないので税金が先送りになります。課税されなかったお金もまるごと再投資に回るので、複利が最大限に効きます。雪だるまが大きくなるほど転がるスピードが上がるイメージです。
一方、高配当は分配金を受け取るたびに、その時点で税金がかかります(課税口座の場合、約20%)。手元に入る前に2割引かれ、しかも一度お金として吐き出されるので、その分だけ複利が効かなくなります。雪だるまを転がす途中で、こまめに雪をそぎ落としているようなものです。これが「高配当は長期的に非効率」と言われる一番の理由で、権利落ちで基準価額も下がります。長期のトータルリターンでは、再投資型のインデックスに負ける可能性が高い。それは理解しています。
※ただしNISA口座の中なら分配金も非課税なので、この複利のハンデは主に課税口座(特定口座など)の話です。自分はNISAの枠を使って高配当を持つことで、この弱点をある程度カバーしています。
本当の決め手は「取り崩しを考えるのが面倒」だったこと
正直に言うと、自分がオルカンをやめた一番の決め手は、リターンの効率ではありません。将来「取り崩す」ことを考えるのが、面倒でストレスだったからです。
オルカンやS&P500は分配金(インカムゲイン)が出ない分、お金が必要になったら自分で売って現金化する必要があります。ここで考えることが一気に増えます。
- 定率法で取り崩すか、定額法で取り崩すか
- いつまで積み立てて、いつから取り崩し始めるか
- 暴落したときに取り崩すと「なんで今このタイミングで売るんだ」となる
- 逆に暴騰しているときは「まだ上がるかも」で売るに売れなくなる
この感情の揺れと、判断の面倒くささが、自分には想像しただけでストレスでした。その点、高配当なら分配金が自動で振り込まれるので、「いつ・いくら売るか」を悩まなくていい。この一点が、自分にとっては大きかったんです。
そのうえで、自分なりの役割分担
補足すると、自分は高配当ファンドを「万能」とは思っていません。目的ごとに役割を分けて考えています。
- ある程度分散したうえで年利7%以上を狙うなら、個別株のほうがいいと思っている
- 高配当ファンドはキャッシュフロー(インカムゲイン年3%ほど)を得る役割。とはいえ高配当でもキャピタルゲインがゼロというわけではない
- さらにリターンを狙うなら中長期のセクター集中投資をしたい
- そして何より、ビジネスで稼いで入金力そのものを上げるのが本筋だと思っている
その全体像の中で、「精神的に一番ラクに、長く続けられるコア」として高配当投資信託が好き——というのが自分の立ち位置です。
それでも自分はこう考えました。「長期的に多少非効率でも、自分が続けられる方法を選ぶほうが、途中でやめてしまうより100倍いい」と。
投資で一番もったいないのは、効率を追い求めた結果、モチベーションが続かずにやめてしまうことです。オルカンやS&P500が合理的なのは間違いない。でも「自分が10年、20年と気持ちよく続けられるか」という物差しで選ぶと、自分の場合は分配金がもらえる高配当だった、というだけの話です。
オルカンとS&P500で迷っている人へ。この2つは「正解」です。でも「続けられるか」も同じくらい大事な物差し。効率だけでなく、自分の性格に合う方法を選ぶことも、立派な投資判断です。
よくある質問
オルカン1本だけで本当に大丈夫ですか?
長期の資産形成という意味では、オルカン1本でも十分に分散が効いています。約50カ国3,000社に投資しているため、これ1本で世界全体に投資しているのと同じです。
「楽天オルカン」と「eMAXIS Slimオルカン」は何が違いますか?
どちらも全世界株に投資するファンドで中身はほぼ同じです。信託報酬(コスト)がごくわずかに違う程度なので、使っている証券会社で買いやすい方を選んで問題ありません。
まとめ
どちらを選んでも「始めること」が一番大切です。完璧な選択を探すより、今すぐ積み立てを始めた方が長期では良い結果になります。
迷ったらオルカン。それだけ覚えておけば大丈夫です。
📖 投資遍歴の全記録
個別株→オルカン→米国ETF→高配当→暗号資産まで、21歳が実際に試して負けも含めて総括した記録はこちら → 21歳の投資遍歴|全記録