「億までの人」と「億からの人」──このふたつを分けて考えるという視点が、本書の最も重要なメッセージです。
資産1億円という数字は、単なる通過点ではなく「ステージが変わる境界線」だと著者は言います。1億円に達するまでに有効な戦略と、1億円を超えてからの戦略は、根本的に異なる。この視点がない人は、1億円を達成した後に資産を減らすことがある。
「億まで」の人がやるべきこと
資産が少ない段階では、リスクを取った積極的な運用より「収入を増やして入金力を上げること」が最優先です。
億までの人の行動パターン:
- 本業・副業で収入を最大化する
- 生活コストを適切にコントロールする
- 余剰資金を成長資産(株・事業)に集中投資する
- 複利の力を最大限に活かす(売らない・引き出さない)
「億から」の人がやるべきこと
1億円を超えると、戦略の重心が変わります。
- 守りを重視:増やすことより「減らさないこと」が優先になる
- 分散を強化:資産クラス・地域・通貨を分散してリスクを下げる
- 税務・相続を考える:この規模になると税金の影響が非常に大きい
- 不労所得の最適化:配当・不動産・事業から安定収入を作る
「1億を超えたのに攻めの投資を続けて失った」という話は珍しくありません。ステージが変われば戦略も変えなければならない。
お金持ちに多い2つのパターン:起業家と金融エリート
私が本書を読んで特に面白いと感じたのは、お金持ちになる人には大きく分けて「起業家」と「金融エリート」という2つのパターンがある、という視点です。
もちろん、富を築く方法がこの2つだけという意味ではありません。ただ、資産形成のスピードを大きく上げる人を見ると、「自分で事業をつくる」か「金融の世界で高い専門性を身につける」かのどちらかに当てはまるケースが多い。この整理によって、なぜ節約と積立だけでは到達に時間がかかるのかも理解しやすくなりました。
なぜ起業家と金融エリートはお金持ちになりやすいのか
なぜこの2つのタイプにお金持ちが多いのか。私が本書を読んで感じた理由は、次の2点です。
- 成果主義で、若いうちから大きく稼ぎやすい
- 稼いだ後、最終的に資産運用を行う必要がある
資産形成では、運用利回りだけでなく、最初にどれだけ大きな元手をつくれるかが重要です。起業家は事業の成果、金融エリートは案件や運用などの成果が収入に反映されやすく、一般的な年功型の働き方よりも収入を早く伸ばせる可能性があります。つまり、2つのタイプはまず成果主義によって資産形成の元手をつくりやすいという共通点を持っています。
ただし、大きく稼ぐだけではお金持ちになれるとは限りません。収入をすべて使えば資産は残らず、事業や仕事からの収入が永遠に続く保証もないからです。そこで最終的には、稼いだお金を株式、債券、不動産などの資産へ移し、自分が働いていない間にもお金が働く状態をつくる必要があります。
この「成果主義で大きく稼ぐ」から「資産運用で残し、増やす」へ進む流れが、起業家と金融エリートに共通する本質なのだと感じました。起業家は稼ぐ力に、金融エリートは運用する力に強みがありますが、資産1億円を目指す段階では、結局どちらの力も必要になります。
私が本書から得た結論
お金持ちになるには、高い収入だけでも、資産運用だけでも足りない。成果に応じて稼ぐ力で元手をつくり、その元手を資産運用に回す。この2段階をつなげることが重要です。
起業家型:事業そのものを資産にする
起業家型は、自分で商品やサービスをつくり、事業の利益と企業価値を大きくしていくタイプです。給与のように働いた時間だけで収入が決まるのではなく、仕組みが成長すれば収入の上限も上がります。
- 強み:事業が伸びたときの資産増加が大きい
- 武器:営業力、実行力、採用力、仕組みをつくる力
- 主なリスク:事業の失敗、収入の不安定さ、一つの事業への集中
起業家の資産は、預金や株式だけではありません。自分が持つ会社や事業の価値も大きな資産です。事業を売却したり、利益を金融資産へ移したりすることで、まとまった資産をつくれる可能性があります。
金融エリート型:知識と市場を使って資産を増やす
もう一つが、投資銀行、ファンド、証券、運用など、金融の専門性を武器にする金融エリート型です。高い収入を得ながら、市場・企業・リスクについての知識を資産運用にも生かせる点が強みです。
- 強み:高い入金力と金融知識を同時に持ちやすい
- 武器:企業分析、投資判断、リスク管理、金融ネットワーク
- 主なリスク:激務、高い生活水準、知識があるからこその過信
単に給料が高いだけではなく、「稼いだお金をどこに置けば増え、どのリスクを避けるべきか」を理解していることが大きな差になります。収入を消費に回さず、資産へ変換し続けることで資産形成が加速します。
金融商品の幅広さと不動産という選択肢
ここでいう資産運用は、株式投資だけを指すものではありません。株式、投資信託、ETF、債券、REITなど金融商品そのものに幅広い選択肢があり、さらに現物不動産や事業への投資もあります。
不動産にも同じことが言えると感じました。物件を買って賃料収入を得るだけでなく、融資を利用して自己資金以上の資産を持てること、運営によって収益を改善できること、売却という出口があることなど、金融商品とは異なる増やし方ができます。一方で、空室、修繕、金利上昇、流動性の低さといった固有のリスクもあります。
大切なのは、どれか一つを絶対視することではなく、資産の規模、年齢、収入の安定性、必要な流動性に応じて選択肢を組み合わせることです。金融エリートは商品の仕組みやリスクの違いを理解しやすいため、稼いだお金の置き場所を状況に合わせて選べる点でも有利だと思います。
少数精鋭になりやすいことも金融エリートの強み
もう一つ強みだと感じたのが、金融の専門職は少数精鋭のチームになりやすい点です。大きな資金や案件を比較的少ない人数で動かす仕事では、一人ひとりの判断や成果が生み出す金額も大きくなります。そのため、高い専門性と成果を持つ人へ報酬が集中しやすい構造があります。
もちろん金融業界のすべての仕事が高収入というわけではなく、強い成果主義には厳しい競争や長時間労働も伴います。それでも、少人数で大きな価値を生み、一人あたりの生産性を高めやすいことは、資産形成の元手を早くつくるうえで大きな強みです。
起業家型と金融エリート型の違い
| 比較項目 | 起業家型 | 金融エリート型 |
| 富の源泉 | 事業の利益・企業価値 | 高収入・金融資産 |
| 伸ばす力 | 事業をつくり拡大する力 | 分析し運用する力 |
| 資産形成の特徴 | 大きく伸びる可能性がある | 高い入金力で積み上げやすい |
| 注意点 | 事業への集中リスク | 過信と生活水準の上昇 |
普通の会社員はどちらでもないから無理なのか
この2つのパターンを見て、「起業も金融業界への転職もできない自分には関係ない」と考える必要はありません。重要なのは肩書きではなく、両者が持つ仕組みを小さく取り入れることだと思います。
- 起業家の要素を取り入れる:副業、小さなサービス、発信など、自分の時間だけに依存しない収入源をつくる
- 金融エリートの要素を取り入れる:会計・企業分析・インデックス投資・リスク管理を学ぶ
- 増えた収入を資産に変える:生活水準を急に上げず、事業や金融資産へ再投資する
私自身は、まず事業で収入を増やす起業家型の動きをしながら、得たお金を長期のインデックス投資へ移す形が現実的だと感じました。どちらか一方を完全に再現するのではなく、「稼ぐ力は起業家から、守り増やす力は金融エリートから学ぶ」という組み合わせです。
今の自分への教訓
21歳の自分はまだ完全に「億まで」フェーズです。今やるべきことは、BANSOUやSCENARIO RIDEで収入を増やし、その資金をインデックスに積み上げること。「億から」の話を先に知っておくことで、到達した時に迷わずに動けると思います。