放送作家・戦略的PRコンサルタントの野呂エイシロウさんによる、先延ばしをなくして「すぐやる人」になるための55の法則をまとめた本です。ただ、自分が一番驚いたのは時間術の部分ではありませんでした。「ミスした時に、人ではなくシステムを責める」という考え方の使い道の広さです。
一番の主張は「人を責めるな、システムを責めろ」
何か失敗が起きた時、人はまず「誰のせいか」を考えます。自分のミスなら自分を責め、他人のミスなら相手を責める。でもこの本の立場は違って、責めるべきは人ではなくそのミスが起きてしまう仕組みのほうだとします。
読む前は、これは部下を持つ管理職の話だと思っていました。実際に読んでみると、この考え方は自分のミスにも、他人のミスにも、仕事にも生活にも全部そのまま使えます。汎用性がとにかく高い。一冊から持ち帰れる考え方として、自分はこれが一番大きかったです。
理由はシンプルで、人を責めても再発しないからです。怒られた側は落ち込むだけで、次に同じ状況になればまた同じミスが起きる。仕組みを直せば、その人がどんな状態でもミスは減ります。
チェーン店に行くほどミスが起きない理由
自分がこの考え方で一番腑に落ちたのは、飲食店の例でした。
大きいチェーン店ほど仕組み化が進んでいて、ミスが起きにくい構造になっています。マニュアルがあり、手順が決まっていて、置く場所まで決まっている。だから入って間もないスタッフでも、そこそこの品質で回せる。
逆に個人店だと、できる人が一人抜けただけで一気に回らなくなることがあります。これはスタッフの能力の差というより、能力に依存する設計になっているかどうかの差です。
チェーン店は「優秀な人を集める」ことでミスを減らしているのではなく、「誰がやっても同じになる」ように先に仕組みを作ってミスを減らしている。この順番の違いが、この本の言っていることそのものだと思いました。
バイト先で実際に使ってみた
読んだあと、自分のバイト先で実際に使ってみました。
後輩がミスをした時、以前なら「気をつけてね」で終わっていたと思います。読んだあとは「このルールのほうがよくないよね」と仕組みのほうを話題にするようになりました。
これをやると、まず後輩が防御的にならないので会話が続きます。そして「じゃあどうするか」の話に自然に移れる。人を責めると会話はそこで終わって、対策が出ないまま気まずさだけが残ります。
そしてもう一つ、自分の中でセットにしているルールがあります。悪いことはシステムを主語にして、良いことは人を主語にする。ミスが出た時は「このルールがよくないよね」と言い、うまくいった時は「あなたがやってくれたからだよ」と言う。
ここを分けないと片手落ちになります。ミスを全部仕組みのせいにするのはいいのですが、そのままだと良い結果まで仕組みの手柄になって、頑張った本人には何も残りません。責める時だけ主語を仕組みにずらして、褒める時は主語を人に戻す。この使い分けをするようになってから、後輩との空気が明らかに変わりました。
バイトという小さい現場でも効果が分かったので、これは自分が事業で人を使う立場になった時にそのまま使える、と思っています。
「やる気」に頼らない、が本全体の骨格
本のベースにあるのは、やる気や意志の力は当てにならないという前提です。だから気合いで頑張るのではなく、放っておいても動ける状態を先に作る。小学校の時間割のように、決まっていれば、やる気がなくても進みます。
55の法則として紹介されているのは、たとえばこういうものです。
- 時間を決める:「朝のこの時間はこれをやる」と固定して、毎回の判断をなくす
- 環境を変える:誘惑になるものを物理的に手の届かない場所に置く
- チェックリストを使う:気分に左右されず、抜け漏れを構造でなくす
- 自動化する:投資の自動積立のように、意志が介在しない形にする
共通しているのは「意志の力を使わなくても行動できる状態を、先に作っておく」ことです。
自分がやった仕組み化:ブログ記事の型
この本を読んで自分が実際に作ったのは、ブログ記事の型と手順です。
それまでは書評を書くたびにゼロから構成を考えていて、書き出すまでが一番しんどい部分でした。今は「主張 → 刺さった具体例 → 自分がやってみたこと → おすすめな人 → 向かない人」という順番を決めてあります。
決めてしまうと、書く前の悩む時間がほぼ消えます。やる気がある日に無理やり進めるのではなく、やる気がない日でも型に沿って埋めれば形になる。この本の言う仕組み化が、自分の場合はこれでした。







